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●前側方のlong tract低位筋間痔ろう(IIL型痔ろう)を変形や機能障害なく、かつ再発させずに治す


低位筋間痔ろう(IIL型痔ろう)の治療法は、昔から毎年のように学会で議論が繰り返されているテーマです。

このタイプの痔ろうの治療法は、うまくやらないと再発や変形のリスクが起こってしまいます。
とくに「long tract痔ろう」と言って、ろう管(トンネル)が長い低位筋間痔ろうの手術は難度が高いことで知られています。

このタイプの痔ろうの治療法についてずっと議論が続けられているということは、このタイプの痔ろうがそれだけ治療が難しく、最善の治療法はなにかということについていまだに結論が出ていないということを意味します。

この前側方のlong tract低位筋間痔ろう(IIL型痔ろう)に対して、切開開放術が行われることはまずありません。
このタイプの痔ろうに切開開放術を行ってしまうと、鍵穴状の変形を起こしてしまい、便漏れに悩まされることになります。

現在このタイプの痔ろうの治療法は、括約筋温存術を行っている施設(関東ではこちらが多い)と、シートン法を行っている施設(関西の先生方が中心となって行っている)の二派に分かれています。
いずれも一長一短あるので、どちらがすぐれていると断言することはできません。

温存術はうまくいけば変形のリスクがきわめて少ないのですが、かなり高率で再発します。
シートン法は再発率が温存術より圧倒的に低いのですが、機能的な面で温存術より劣る懸念があるのです。

10年ほど前までは、このタイプの痔ろうに対する術式はほとんどが括約筋温存術でした。
ところがここ数年で、関西の大御所の先生方が長年実績を積み重ねてきたシートン法の長所が広く認識され、シートン法で治療を行う施設が急速に増えてきています。

われわれの施設でも、現在このタイプの痔ろうの治療法はシートン法が多く行われるようになっています。
この方法は温存術とくらべて圧倒的に再発率が低く、うまくやれば変形や機能障害のリスクもほとんど問題とならないことがわかってきたからです。

このシートン法は、通常の長さのろう管を有する痔ろうに行うのであれば、非常に好成績が得られます。

いっぽうろう管が長いタイプの痔ろうにシートン法を行う場合には、話が難しくなります。
この手の痔ろうに普通のシートン法を行うと、治るまでに非常に長い時間がかかり、瘢痕(傷あと)が大きくなってしまうのです。

このような場合の解決策として、痔ろうのろう管を内側と外側の二つに分割して、最小限の範囲をシートン(ゴム)で処理するという方法が以前から知られており、われわれの施設でもときどきこの方法が行われることがありました。

たしかにこの方法が狙いどおりにいけば、治癒の時間もかからず、瘢痕も小さく、もちろん機能障害のリスクも最小限で、さらに再発率も低いという、まさに「いいとこ取り」の痔ろうの術式になりえます。

でも実際には、この分割する方法はなかなか狙い通りにいかないことがあるのが現実でした。
この方法は上手にやらないと高率で再発が起こったり、通常のシートン法よりかえって機能障害のリスクが高くなったりという問題があるのです。それではわざわざ手を加えて手間を増やす意味がありません。

当初はどうすればこの「瘻管分割」がうまくいき、どうなればうまくいかないのか、違いが分かりませんでした。

でも膨大な件数の痔ろうにシートン法を行っていくうちに、この「分割する方法」で痔ろうがうまく治るための条件が徐々にわかってきました。現時点では、この治癒成立に必要な条件は2つあると考えています。

ここで示すのは、その痔ろうのろう管を分割する方法(「分割シートン法」と私が勝手に名づけました)でうまく治るための条件はなにか?という点について研究を行った結果です。

(この研究内容は、2010年の大腸肛門病学会誌に掲載されました)





































































































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