痔ろうの術式には温存術、シートン法、切開開放術の3種類があり、それぞれ長所と短所があります。
痔ろうの状況に適した術式を正しく使い分ける必要があるので、術式の選択は医師の判断にお任せした方がうまくいきます。
「温存術」という響きが良いせいか、痔ろうの手術を受ける患者さんの中には、「私の手術は温存術でお願いします」というように術式を指定してくる方がときにおられます。
痔ろうの術式には、大きく分けて切開開放術、シートン法、括約筋温存術の三種類があります。
できるだけ希望通りの術式でやってあげたいのはやまやまなのですが、これらの術式はどれも一長一短あるので、それぞれの痔ろうの状況に応じて正しく使い分けるのがベストです。
(温存術が他の術式よりすぐれているのであれば、他の術式はとっくに行われなくなっているはずですよね)
括約筋温存術が向かないタイプの痔ろうに、強引に括約筋温存術をやろうとしても、たいていうまくいかなくて再発します。
再発だけならもう一回手術すればいいのですが、温存術をやらない方がよいケースに無理やり温存術を試みると、取り返しのつかない深刻な合併症を起こす可能性もあるのです。
括約筋温存術では、痔ろうのトンネル(ろう管)をある程度くりぬいて切除する必要があります。
温存術というからには、トンネルのくりぬきも必要最小限にして、組織を温存してダメージを小さくするのが鉄則です。
そして温存術を成功させるには、温存術に適した痔ろうをきちんと見極めて、正確にトンネルを切除する技術が必要です。
でもそれができない医師が無理やり温存術をやろうとすると、失敗して大きな穴をつくってしまう恐れがあるのです。
この場合、トンネルを除去した部位を縫合閉鎖できないので、結局そこを切開せざるを得なくなります(下図参照)。
いちばんダメージのすくない温存術を希望したはずなのに、シートン法や切開開放術よりも大きいダメージを肛門に与えてしまうことになるわけです。
もちろん肛門に変形を残すリスクもはるかに高くなってしまいます。
肛門科手術の修練を積んだ医師であれば、「これは括約筋温存術には向かない痔ろうだ」ということを術中に判断し、他のもっと良い治療法を選択することができます。
ですから、患者さんが「かならず括約筋温存術でやって欲しい」などと強く希望するのはよい方法とは言えません。
痔ろうの術式決定の最終判断は、肛門科手術を行う担当医にお任せしたほうが良い結果が得られます。
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前側方のIIL型痔ろうは、通常括約筋温存術かシートン法が選択される。 |
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括約筋温存術を行う場合には、痔ろうの管を最小限のダメージで切除してから入り口を縫合閉鎖する。
うまくできたつもりでも、再発率は高い。 |
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温存術が向かないタイプの痔瘻を無理して温存術でやってしまったら大変なことになる。
痔ろうの管を取り除いたら大穴ができてしまって、縫合閉鎖できなくなる。
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こうなったら全部切開するしかない。
瘻管がすべてなくなっているので、肛門に大ダメージを与えてしまう。
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大穴をつくって切開するくらいなら、はじめから切開解放術で治療したほうがはるかにマシ。 |
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