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肛門科手術の修行を始めたばかりの医師は、まず前立ちからスタートする。
肛門科手術の修行を始めたばかりの医師は、まず前立ちからスタートする。
上級者の手術の助手をつとめ、手術の手順や手技上のコツを目の当たりにし、「正しいやりかた」を体得するわけである。
この「正しいやりかた」を一定期間見るだけでも、長年自己流で経験を積むより圧倒的に多くのことを学べる。
私が所属する病院では、手術の前立ちを一年近くつとめたら、こんどは少しずつ術者を担当させてもらうようになる。
もちろんはじめから難しい症例が回ってくるわけはなく、初心者向きの「だれがやっても大丈夫そうな症例」を上司が厳選して、週に2例ほどやらせてもらえるわけである。
ようやく肛門外科医としてのデビューとなるわけであるが、実際やってみると甘くないことを思い知らされる。
肛門科の手術に限らず、どの領域の手術にも、「見るとやるとじゃ大違い」なところがいろいろと存在する。
上級者が何気なくクリアしてしまうポイントで、初心者は戸惑ったりひっかかったりしてしまう。
「こんなはずじゃ・・・」とあせりつつ、たびたび上級者に助けてもらうことになるわけである。
なかなか思うようにいかないから、当然上級者にいろいろ質問してアドバイスを求めることになる。
自分も当時の上司たちに、「どうすればうまくなるのか」といったようなことを聞いて回っていた時期がある。
得られた答えが、各人各様で面白い。
「経験を積め」とか「この本を読め」というシンプルな回答もあれば、「こういうときはこうする」「この状況のときはああする」というような技術的な回答もある。
これらの教えは、どれも自分の成長に役に立っている。
そしてこれらの中で当時の自分がいちばん感銘を受け、現在でも実行している教えがある。
・・・それは、 「完全コピーせよ」 というアドバイスである。
これは私の所属している病院の医師のアドバイスではない。
ある全国的に有名な大腸肛門科専門病院を見学していたときに、そこの大御所の先生が何気なく言われた一言である。
その先生にとっては何気ない一言であっても、自分は「大御所の言葉は一言も聞き漏らすまい」と思って集中しているから、その一言はよけい自分に大きなインパクトを与えたのだと思う。
1 肛門科手術の修行は、他の分野とはすこし異なるところがある|2 修行を始めたばかりの医師は、まず前立ちからスタートする|3 最高峰のアドバイス|4 肛門科手術の修行における「守・破・離」|5 このアドバイスは、一流の職人の世界観と通じるものがあると思う
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