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10 そして現在へ・・・


漫然と問題に取り組み、「なんとなく分からない」などとコメントする子がいる。
ひどいのになると、とっくに学校で習ったはずの問題を一目見ただけでギブアップするのもいる。

そういう反応を見せる子は、基本的に受け身である。
与えられてばかりで自力で何かを得ようとあがいた経験がなく、その態度が数学の問題に対する反応にも表れているということである。

受験が迫っていながらも、壁にぶつかって、悩みぬいて、「ジグソーパズルのあと一片・・・」の段階にいたっていないということである。
いままでの人生は誰かがなんとかしてくれたので、受験勉強も誰かが何とかしてくれるだろうと思っているのだろう。

そういう子に教えても面白くないし、経験上受験も失敗することが多かったので、家庭教師をお断りすることもたびたびあった。

いっぽう未熟なところがあっても一生懸命自分なりに理論を展開し、ある部位で行き詰って「自分はココが分かっていない」などというようなコメントをする子は見込みがあった。
引っかかっているポイントだけ教えてあげれば、あとは放っておいても最後まで突き進んで問題を解決してしまうこともまれではない。

そういう子は教えていて楽しいし、うまく導けば受験も成功することが多いのでお引き受けするのが常だった。

教育とは教える側の力量云々はもとより、教わる側の成熟度や資質も重要なのだろう。
教えを受ける資格がない者に重要なポイントを教えても、多くは世間話と同列の雑多な情報として忘れられてしまう。

こんなこと考えるのは自分だけだろうかと思っていたが、先日「いろいろな道の達人」についての本を読んだ時に、自分と同じようなことを言っている人がいたので、自分の考えはおそらく正しいのだろうと思うようになっている。


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水戸肛門病院(仮名)は居心地が良いこともあって、当初の予定と違ってお世話になってから10年近くたってしまった。

思い返せばこれまでに約5000件の大腸肛門科手術の術者と、10000件以上の大腸内視鏡検査を経験したことになる。

誘ってくれて、楽しく働かせてくれて、たくさんの経験を積ませてくれて、やりたいようにやらせてくれて、未熟で短所だらけの自分にもチャンスを与えつづけてくれて、そのうえ十分すぎるほど恵まれた環境で勤務医をやらせてくれている院長および水戸肛門病院(仮名)の皆様には深く感謝している。


今思うと、院長に誘っていただいた約10年前が、自分の医師人生の大きなターニングポイントだったのだと思う。

今ではこの大腸肛門科が一生の仕事になっている。



なぜ大腸肛門科をやっているのか 終


1 なぜ大腸肛門科をやっているのか2 これは俺がやりたい大腸内視鏡検査ではない!3 目からうろこ(その1) 大腸内視鏡検査4 目からうろこ(その2) 肛門科手術5 大腸肛門科を一生の仕事とすることに決めた6 大腸内視鏡検査と肛門科手術の修行に没頭する7 俺は井の中の蛙だった8 肛門外科は10年つとめて一人前9 医師の教育について10 そして現在へ・・・


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