かつて注腸造影検査は広く行われていたのですが、現在では大腸内視鏡検査が大腸精密検査の主役となっています。
注腸造影検査は大腸内視鏡検査と比べるとメリットが少ないため、行われる頻度は激減してきています。
注腸造影検査とは、肛門からバリウムを注入してレントゲン撮影を行う検査法です。
この検査は10〜20年ほど前までは大腸精密検査の主役でした。
この注腸造影検査は昔から行われていた方法であり、現在でもほとんどの病院で受けることができるのですが、大腸内視鏡検査と比べるとデメリットが多い検査です。
まずこの検査は肛門からバリウムを注入して、透視台の上に乗って左右にゴロゴロ転がってバリウムを腸に広げていくので、高齢者では検査を受けるのが大変です。
また、注腸造影検査では大量のバリウムを使用するため、検査後しばらくはバリウム混じりの便が続きます。裂肛などがある人だとしばらく検査後の排便も大変です。
さらに注腸造影検査では比較的長時間のレントゲン撮影を行うため、放射線被爆の問題もあります。
もうひとつもっとも重要な問題として、注腸造影検査は大腸内視鏡検査とくらべてかなり精度が落ちるという問題があります。
注腸造影検査はバリウムに写った病変の影絵を見ているにすぎないので、小さい病変や平坦な病変は見落とされることが多いのです。
さらに便などの固形物を大腸ポリープと誤認してしまうことも多く、注腸造影検査で大腸の病気が疑われる影が見つかったら、日をあらためてもう一度下剤を飲んで大腸内視鏡検査を受ける羽目になってしまうのです。
以上の理由から、大腸の精密検査は、現在では大腸内視鏡検査が主流となっています。
私の所属している大腸肛門科専門病院でも、大腸の検査はすべて大腸内視鏡検査で行っており、注腸造影を行うことはほぼ皆無になっています。
現在大腸肛門科領域で注腸造影検査が用いられる状況は限定されており、たとえば大腸がんの手術を行う前に癌の正確な位置を同定するために用いられている程度です。
ただし現在でも大腸内視鏡検査を行える医師の数は不足しており、まともに大腸内視鏡検査を行うことができる医師がいない病院では、やむなく注腸造影検査を行っている施設もまだまだたくさんあります。
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