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すべての肛門科の手術が、日帰りで行えるわけではありません。 日帰り手術を安全におこなうために、われわれの施設では日帰り手術と入院手術を分ける基準を設定しています。 最近、「痔の日帰り手術」を売りにしている肛門科専門のクリニックが増えてきました。 しかし現実には、すべての肛門科の病気を日帰り手術で治せるわけではありません。 「入院が必要なケース」に無理して日帰り手術を行うと、いろいろなトラブルが起こる可能性があります。 「日帰り手術」を売りにしている肛門科専門クリニックであっても、この「入院が必要なケース」の場合には、入院設備のある病院に紹介して手術を受けてもらっています。 日帰り手術可能か、入院して手術したほうがよいかを判断する基準はいくつかあります。 そのなかでもわれわれが重視しているのは、年齢、治療中の病気の有無、お住まいの場所、痔の重症度 の4つです。 ・年齢 高齢の方に日帰り手術を行うと、若い人とくらべて術中や術後にアクシデントが起こる可能性が高くなります。 このため、ある程度の年齢の方(大体60〜65歳以上)の場合には、入院で手術を行ったほうが安全です。 ・治療中の病気の有無 重い病気を治療中・または治療したことがある方の場合にも、術中や術後に予期せぬアクシデントが起こる可能性が高くなります。 とくに問題となりやすいのは、以下に示したような疾患です。 ・重度の脳神経疾患(脳卒中など)や心疾患(心筋梗塞、狭心症、重症不整脈など) 脳神経疾患や心疾患の治療を行っている方では、「抗凝固剤」といって血液をサラサラにする薬を飲んでいることが多く、この場合術前に薬を中止する必要があります。 薬の管理や、術中術後の厳重なモニター管理が必要となるため、これらの疾患がある場合には入院が必要です。 ・重度の糖尿病 インスリンを使用するほど重度の糖尿病がある方では、手術の前後にも厳重な血糖コントロールを行う必要があるため、入院して手術を受ける必要があります。 ・精神疾患や透析などのその他の疾患 ・お住まいの場所 日帰り手術を行う場合には、お住まいの場所も考慮に入れる必要があります。 特に遠方にお住まいの方(だいたい一時間以上)に痔の日帰り手術を行う場合には、いくつかの解決すべき問題が存在します。 日帰り手術では、手術を受けて2〜3時間休憩しただけで帰宅する必要があります。お住まいが遠くの方だと、手術を受けたその日に電車やバスを乗り継いだり、長時間歩いたりして帰るのはなかなか大変です。 (当然車の運転はできません) ですから、遠方にお住まいの方が日帰り手術を希望される場合には、近くのホテルで一泊することをお勧めしています。 手術を受けた日は近くのホテルで一泊して、翌日病院で傷をチェックしてから帰宅するようにすれば、ほとんど問題は起こらずに済みます。 また、遠方にお住まいの方の場合、術後に万一トラブルが起こった場合のことも考えておかなくてはなりません。 自宅で出血や強い痛みなどのトラブルが起こっても、手術を受けた遠くの病院に行くのは大変です。 このような緊急を要する事態が起こった場合には、自宅近くの病院を受診するしかありません。外科医がいる病院であれば、出血や痛みに対し確実に対処してくれるはずです。 ・痔の重症度 肛門科の病気には、軽症のものから重症のものまでいろいろあります。 軽度の痔ほど日帰り手術で対処しやすく、逆に重度の痔ほど日帰り手術は難しくなります。 痔が重症になるほど、術後の痛みや出血といったトラブルが起こる可能性が高くなってくるためです。 どこまで日帰り手術で治療し、どこから入院手術にするかという線引きの基準は、医師の考え方や経験によってかなりの差があり、統一した基準があるわけではありません。 たとえば痔の半数以上を日帰り手術で行っている肛門科専門クリニックもありますし、日帰り手術はごく軽い痔だけに限定し、その他の大半の痔は入院手術で治療する方針の病院も多いです。 「痔の手術について(術前)」の関連記事 肛門科で手術を勧められていますが、本当に手術は必要?(痔核・痔ろう・裂肛)|痔核の手術を受けます。希望する方法で手術してもらえるの? |痔ろうの手術を受けます。希望する方法で手術してもらえるの? |裂肛の手術を受けます。希望する方法で手術してもらえるの? |治療中の病気がありますが、手術に支障はないですか?|手術はどれくらい時間がかかりますか?|肛門科の手術スケジュール(日帰り手術)|肛門科の手術スケジュール(入院手術)|治るまでにどれくらいかかりますか?|手術は痛くないの?|肛門科の日帰り手術について|日帰り手術を受けた日に運転してもいいの?|レーザーメスは肛門科の手術には有効?|肛門科手術の際に行われる麻酔について|麻酔の合併症について
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