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痔ろうの手術(シートン法)

・シートン法は、切開開放術では変形のリスクがある痔ろうに用いられる。
・再発率が低く変形のリスクも少ないが、治るまでに時間がかかることがある。


痔ろうの手術(シートン法)1 前方(おなか側)や側方のIIL型痔ろう、およびIII型痔ろうなどの場合にこの術式が用いられることが多い。
痔ろうの手術(シートン法)2 痔ろうの管をとりのぞく。
(完全にとりのぞかない方法もある)
痔ろうの手術(シートン法)3 特殊なゴム(シートン)をかける。
痔ろうの手術(シートン法)4 体が異物(ゴム)を押し出そうとするので、ゴムが徐々に浅くなってくる。

ゴム輪が浅くなってゆるんできたら、医師がしめなおす。
痔ろうの手術(シートン法)5 いずれゴムがとれて痔ろうが治る。

ゴムが通ったところは自然につながって元通りになるので、変形はまず起こらない。

 ●シートン法は痛い治療法なのか?

シートン法はポイントを守って上手にやれば、他の手術と比べて痛みが強いということはありません・・・

このあたりのくわしい事情とわれわれの取り組みについては、こちらをご覧ください。
(マニアックなので興味のある方だけどうぞ・・・)




●管理者(赤木一成)が辻仲病院で取り組んできたシートン法に関する研究
 (学会発表したスライドを要約したものを載せてます。マニアックですが興味のある方はどうぞ・・・)


・前側方のlong tract低位筋間痔ろう(IIL型痔ろう)を変形や機能障害なく、かつ再発させずに治す
※「long tract痔ろう」とは、ろう管(トンネル)が長い痔ろうのことです。手術の難度が高いことで知られています。

・深部複雑痔ろう(III型痔ろう・IV型痔ろう)を変形や機能障害なく、かつ再発させずに治す

・シートン法の術後に生じやすいトラブルの予防法の確立

・痔ろう術後に変形を生じないシートン法の追求

・複数のろう管を有する複雑痔ろうを変形や機能障害なく、かつ再発させずに治す




(解説)

前方や側方のII型痔ろう、およびIII型痔ろうなどに切開開放術を行うと、肛門が変形する恐れがあります。

この場合に用いられる痔ろうの術式として、シートン法があります。

シートン法はいろいろな長所があるため、わが国の肛門科の間でもひろく普及しつつある術式です。

再発率が低い(3%くらい)
肛門変形のリスクも低い
短期入院手術にも対応可能

一方、シートン法の短所としては・・・

しばらくゴム輪をつけておかないといけないので、治るまでにやや時間がかかることがある。
人によってはゴム輪をかなり気にする方もいる。

ゴムが取れる時間は個人差があります。
ゴムが緩んできたら、来院時に医師が締めなおします。
これを何回か繰り返すと、いずれゴムが「ポロッ」ととれて終了となります。

痔ろうが浅い場合には早く取れ、深い場合には時間がかかります。

時間がかかる人では2〜3ヶ月以上要する場合もありますが、時間をかけて気長に待ったほうが良い結果が得られるので、ゆっくり取れるのを待ちましょう。


(マニアックな蛇足・・・)

このシートン法は、図で示すとおり単純明快な方法です。

でもこのシートン法は、慣れない医師が手がけてしまうと、いろいろなトラブルを起こしてしまいます。

まずこのシートン法で使うゴムの締め加減が難しかったりします。
慣れない術者は、たいていゴムを強く締めすぎてしまいます。
そのために激痛が起こったり・・・
あまりに早くゴムが脱落してしまって肛門変形のリスクが生じたり・・・
ゴムがあまりに速く浅くなるので、うしろに膿を取り残して再発したり(遺残膿瘍といいます)・・・

そのためわれわれの病院では、「ゴムはゆるく締めるべし」ということを教えるのですが、逆にゆるすぎてもなかなかゴムが脱落してくれません。
半年も一年もゴムが脱落せず、患者さんからクレームが来たり、患者さんが病院に来なくなることもあるのです。

また、このゴムがイラストのように奥から手前に浅くなってくれば順調に治るのですが、逆に手前から奥にもぐりこんでしまって、なかなか治らなくなってしまうこともあります(難治化といいます)。

このシートン法に限らず、肛門科の手術は、一見シンプルに見えても奥が深いということがよくあります。

シートン法を多数行っている肛門科専門病院であれば、それぞれがシートン法をうまく行うためのコツを確立しています。

このへんは「餅は餅屋ですね・・・」。


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